ダブルスーツとは?
「ダブルスーツ」という言葉は聞いたことがあっても、きちんと把握していない人は意外と多いのではないしょうか。詳しく解説しますので、この機会にきちんとクリアにしておきましょう。
ダブルスーツの特徴
スーツのジャケットは大きく分けて、「シングルブレスト」と「ダブルブレスト」という2つの仕様があります。異なるのは、フロントの重なり具合。「シングル」は重なっている部分がほとんどなく、「ダブル」は二重になっている部分が深いのがポイントです。フロントを留めるボタンの列も異なり、「シングル」は1列、「ダブル」は2列になっています。
シングルスーツとの違い
すでに解説したように、ダブルスーツとシングルスーツではフロントを留めるボタンの列が異なります。ダブルスーツは列が2本なので、ボタンの数もその分だけ2倍に。重なっている部分が広く、シングルスーツよりもダブルスーツのほうが重厚でフォーマルな印象が強くなります。逆に言えば、シングルスーツはシンプルですっきりした印象が特徴的。そもそも両者は出自も異なっています。登場したのはどちらも19世紀ですが、「シングルスーツ」はイギリス貴族の平服や執務服が起源です。一方、「ダブルスーツ」はイギリス軍の士官が着ていた外套(オーバーコート)や乗馬用の服が起源。屋外で着用していたため、重厚感があって当然というわけです。
ダブルスーツのメリットはこれ!
シングルスーツとダブルスーツの違いがわかったところで、ダブルスーツならではの長所も解説します。ビジネスシーンではシングルスーツが主流ですが、ここで挙げるメリットに魅力を感じたら、ダブルスーツにも挑戦してみてください。
体型カバー力が抜群
まずは実用的なメリットから。前身頃の重なっている部分が深いダブルスーツは体のラインが外からわかりにくく、体型がカバーできます。恰幅の良い人が体型をごまかせるのはもちろん、華奢な人がたくましく見せれられる効果も。とは言え、むやみに大きめのサイズやワイドなシルエットを選ぶと、時代遅れの野暮ったい印象になりがちなので要注意です。ウエストなど、絞れる部分は絞っているジャケットを選ぶと、今っぽくてスマートなダブルスーツスタイルに仕上がります。
重厚感や威厳が演出できる
もともと軍の士官が着ていた服が由来ということもあり、ダブルスーツは重厚感が強く、貫禄、威厳、風格などが感じられます。細かいディテールを見ると、ボタンが2列になっていて数が多いのに加え、ラペル幅が広いのが特徴。それが重厚感や貫禄につながっています。だからこそ、ボタンが少なくラペル幅が狭いタイプは、スマートでモダンな雰囲気です。
ビジネスシーンでも使いやすい
ダブルスーツはフォーマルなイメージが強いかもしれませんが、ビジネスシーンでも着回せます。とくに最近はスマートでスタイリッシュなダブルスーツの人気が高まり、年齢やステータスを問わずダブルスーツを着られるようになってきました。ただし、年配の方が多い職場などで若者でダブルスーツを着ると疎まれることもあるので、その点は注意も必要です。
シングルスーツと差別化できる
ダブルスーツを着る人が増えたとは言え、ビジネスシーンにおいてはまだまだシングルスーツが多数派。そのため、ダブルスーツを着こなすだけで周囲からの差別化が図れます。普段はシングルスーツを着用しつつ、ここぞという勝負の時にダブルスーツを選んで存在感を高めるという使い方も効果的。もちろん、普段から着回してもOKです。
パーティーなどのシーンでも大活躍
ダブルスーツはもともとフォーマルなシーンと相性が良く、華やかなディテールも採用されています。象徴的なのは、ラペル上部の外側が尖っている「ピークドラペル(ピークトラペル)」。華が必要なパーティーなどのシーンでこそ、そんなディテールが重宝します。また、フォーマルなシーンではマットなブラックを選ぶべきですが、少しカジュアルなパーティーなどではネイビー、グレー、ブラウンなども選択肢に。むしろ、少し明るいトーンのほうが華やかな印象が高まります。グレンチェックなどの柄物で個性を演出するのもおすすめです。
ダブルスーツの種類
・シングルスーツと同じように、ダブルスーツにもボタンの数による種類があります。定番は2タイプ。それぞれの特徴と着こなし方を解説しますので、購入時や着用時の参考にしてください。
【参考】ボタンのマナーはこちらもチェック
6つボタン
ダブルスーツの定番は6つボタン仕様。ボタンが2列×3個の計6つと多いため、重厚感やクラッシクなムードがいっそう強いのが特徴です。ボタンはたくさんありますが、2列ともいちばん上のボタンは飾り。留める必要はありません。残り4つのうち、右前(右列)2つのボタンの留め方で着こなしのアレンジできます。両方とも留める「2つ掛け」は、フォーマルなシーンに最適。上品で古風な印象が生まれます。中央のボタンだけ留める「1つ掛け」は、ビジネスシーン向き。ウエストのシェイプが際立ち、引き締まった印象が演出できます。いちばん下のボタンだけ留める着こなしもありますが、ややカジュアルな印象。Vゾーンが少し広くなり、リラックス感や着崩した印象が漂います。
4つボタン
ボタンの数は少なめで軽快かつモダンな印象を与えるのが4つボタン仕様。ボタンが2列×2個で計4つ並んでいます。ボタンの留め方は、6つボタンと同様で、いちばん上の飾りボタンがなくなったと考えてください。つまり、右前(右列)2つのボタンの留め方でアレンジが可能。どう留めるか迷った場合は、すべて留めれば問題ありません。
ダブルスーツをおしゃれに着こなすためのポイント
ダブルスーツを着こなす際も、基本的なルールはシングルスーツと同じです。ただし、ダブルならではのポイントも。ここでは、よりおしゃれに見えるポイントを5つ紹介します。優先度が高い順に並べていますので、上から順番に取り入れてみてください。
着丈はヒップがちょうど隠れる長さに
最近のダブルスーツは、スマートかつモダンに進化しています。ジャケットの着丈は短めがトレンド。ヒップが隠れるくらいの長さを目安にするのがおすすめです。着丈が長いとフォーマルな印象や野暮ったいムードが高まってしまいますので、ビジネスシーンでは短めに設定するのがおすすめです。
【参考】スーツのサイズ選びはこちらもチェック!
スラックスはスッキリしたシルエットを選ぶ
スマートに進化したダブルスーツの魅力を高めるためには、合わせるスラックスもスッキリしたタイプを選ぶのが効果的。1980年代のバブル期に見られたようなダボッとしたダブルスーツとは違ったイメージを演出するように意識しましょう。そもそもダブルブレストのジャケットはボタンの数が多く、重厚感や装飾性がより強くなります。スマートでスッキリしたパンツのほうが全体のバランスと整うため、その意味でもスッキリしたスラックスを選ぶのがおすすめです。ちなみに、スラックスの裾はダブルが基本。ダブルジャケットの重厚感と釣り合いが取れるからです。
慣れるまでネクタイはスーツと同色系で
ダブルブレストならではの風格を生かすためには、ネクタイをあまり目立たせないのがポイント。とくに、ダブルスーツの着こなしに慣れるまではスーツの色に近い色味のネクタイを選び、なじませるのがおすすめです。その一方、ダブルのジャケットはVゾーンが狭いという特徴も。アクセントになるネクタイを合わせても見える面積が少ないため、バランスが崩れにくくなっています。ダブルスーツに慣れてきたら、差し色になるネクタイに挑戦して個性や季節感を上乗せしてみてください。
【参考】豊富な種類から選べる日本製ネクタイ
【参考】ネクタイの結び方にも拘るなら
ポケットチーフで印象をコントロール
ダブルスーツのジャケットはVゾーンが狭い分、ポケットチーフがよく映えます。しかも、ダブルスーツはフォーマルな印象が強いので、ポケットチーフとの相性が抜群です。そこで、コーディネートの仕上げとして活用し、印象を最終調整するのがおすすめ。例えば、ネクタイをスーツと同系色にして少し物足りないと感じたら、ポケットチーフで華を添えると地味な印象が払拭できます。また、華やかで目立つネクタイを選んだ場合、ネクタイとお揃いか色柄の近いポケットチーフを差すことで、ネクタイだけが悪目立ちするのを回避可能。ダブルスーツを着こなすために、ポケットチーフを大いに活用しましょう。
【参考】スーツに合わせて選べるポケットチープ
【参考】ポケットチーフの入れ方はこちらをチェック!
ベストを合わせた3ピースで風格UP
ダブルスーツならではのクラシックな貫禄を高めるために、3ピースで着こなすという手も。ダンディーな風格が際立ち、シングルスーツとの違いも強調できます。また、ダブルスーツならではの重厚感もアップ。体型をカバーする能力がいっそう向上するメリットも望めます。ちなみに3ピースで着こなす際は、ベストはいちばん下のボタンを外すのが基本。ジャケットはすべてのボタンを留めないでOKです。
【参考】スリーピーススーツの魅力を解説
まとめ
ダブルスーツの魅力は伝わったでしょうか? クラシックな風格があるのに加え、体型カバーなどの実用的なメリットもあるのがダブルスーツです。シングルスーツとの差別化もできるのですが、それはダブルスーツが少数派だからこそ。既成品のバリエーションが限られているため、好みのデザインが見つからないケースも考えられます。そんな場合は、ダブルスーツをオーダーするという手段も。サイズ感も重要なので、その意味でもオーダーメイドはおすすめです。実は、〈SOLVE(ソルブ)〉のオーダースーツでもダブルの6つボタンがセレクト可能。機会があったら誂えて着回してみてください!
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