ポケットチーフの役割
そもそも「ポケットチーフ」とは、「ポケット」に入れる「ハンカチーフ」のこと。英国ではそのまま「ポケットハンカチーフ」と呼ばれています。ちなみにアメリカでは「ポケットスクエア」と呼ぶのが一般的で、日本でもそう呼ばれることがあります。ポケットチーフは現在、装飾的な役割が強いアイテムです。テーラードジャケットの左胸についているポケットに挿し、一部分をのぞかせる使い方が一般的。フォーマルなスタイルでは必需品ですが、ビジネススタイルやカジュアルなスタイルでも華やかさを加味するアクセントとして活用する人が増えています。
ポケットチーフの歴史
ポケットチーフの原型はハンカチーフ(ハンカチ)と一緒です。女性が頭に被っていた「カチーフ」が起源と言われています。カチーフを手で持つようになったために「ハンド」がついて「ハンカチーフ」になり、ポケットに入れるようになって「ポケットハンカチーフ」となりました。テーラードジャケットの胸ポケットに挿すようになったのは20世紀に入ってから。富裕層がフォーマルな装いで白いチーフを差すようになり、それが一般化して広まったようです。
ポケットチーフとハンカチの違い
ポケットチーフとハンカチは起源こそ同じですが、用途に合わせてそれぞれ進化を遂げています。ハンカチは濡れた手を拭くのが主な役割。吸水性に優れるコットン素材が一般的です。一方のポケットチーフは装飾的な役割がメインなので、エレガントな光沢があるシルクか、形が崩れにくいリネンが主流。さらに、ポケットに入れやすいようにサイズ感も小さめになっています。兼用できる商品もありますが、専用のポケットチーフのほうが使いやすくておすすめです。
ポケットチーフの折り方
ポケットチーフは折り方、畳み方、挿し方によって印象が大きく変わります。シーンに合わせた折り方を選ぶことが大切ですが、汎用性の高い「TVフォールド」をマスターすればあらゆるシーンで使えます。他の挿し方も含め、詳しく解説します。
TVフォールド(TV Fold)
フォーマル、ビジネス、パーティー、カジュアルと、シーンを選ばずオールマイティーに使える唯一の折り方が「TVフォールド(ティーヴィーフォールド)」。「ティーブイホールド」などと表記されることもあります。名前が印象的ですが、アメリカのテレビキャスターが挿していたのが由来とわかれば、覚えやすいのではないでしょうか。「TVフォールド」の挿し方は下記の通り。
①縦半分、横半分に折って正方形に
②胸ポケットの幅に合わせて両サイドを折って三つ折りに
③胸ポケットの深さに合わせて下の部分を折る
④胸ポケットに挿し、上辺を適度にのぞかせたら完成
トライアングラー (Triangle Fold)
胸ポケットから三角形がのぞくように挿すのが「トライアングラー」です。比較的シンプルで汎用性が高く、フォーマル、ビジネス、パーティーで使用できます。「トライアングラー」の挿し方は下記の通り。
①縦半分、横半分に折って正方形に
②ダイヤ型に置いて両端を折り、胸ポケットの幅に合わせる
③胸ポケットの深さに合わせて下の部分を折る
④胸ポケットに挿し、三角の部分をバランス良くのぞかせたら完成
スリーピークス (Three Point Fold)
頂点が3つあり、三角形が重なったように見える挿し方が「スリーピークス」。フォーマルなシーンのなかでも華やかさが必要な結婚式やパーティーに最適です。「スリーピークス」の挿し方は下記の通り。
①対角線で折って三角に
②再び三角に折り、頂点が完全に重ならないようにズラす
③さらに三角に折り、頂点を少しズラす
④胸ポケットの深さに合わせて下の角を折る
⑤胸ポケットに挿し、3つの頂点をのぞかせてバランスを整えたら完成
パフドスタイル ( Puffed style)
「パフ(Puff)」は「フワッと膨れた」といった意味で、その名の通りふんわりとさせる独特な挿し方が「パフドスタイル」です。くだけた印象と華やかなイメージが同居していて、カジュアルなパーティーや結婚式の二次会などで重宝します。「パフドスタイル」の挿し方は下記の通り。
①ポケットチーフの中央をつまむ
②つまんだ部分が見えるように胸ポケットへ挿す
③見える部分の形やバランスを整えたら完成
クラッシュドスタイル (Crushed style)
「パフドスタイル」と同じく、華やかさと遊び心を併せ持つ挿し方が「クラッシュドスタイル」です。挿し方も「パフドスタイル」を逆さにしただけなので、セットでマスターしましょう。「クラッシュドスタイル」の挿し方は下記の通り。
①ポケットチーフの中央をつまむ
②つまんでいない端の部分が見えるように胸ポケットへ挿す
③ポケットチーフの四隅を無造作に出しつつ、花びらのように造形できたら完成
ポケットチーフの選び方
挿し方だけでなく、ポケットチーフ自体のデザインでも印象は大きく変わります。そこで、ポケットチーフを選ぶ際のポイントを「素材」「柄」「色」に分けて解説します。大人の男性にとって必需品とも言えるリネン製の白無地だけは最優先で揃えるようにしましょう。
素材で選ぶ
ポケットチーフの主な素材は「リネン」と「シルク」の2種類。シーンによって使い分られるように、それぞれの特徴を把握しておきましょう。コットンやポリエステルといった他の素材を使ったポケットチーフもありますが、2大素材よりカジュアルな印象になるのが特徴です。
リネン
もっとも品位を感じさせる素材が「リネン」です。光沢が強すぎないので華美になり過ぎず、上品な風格を醸すことができます。適度なコシがあって形状がキープできるため、きちんとした印象が演出しやすいのも特徴です。フォーマルなスタイルでは真っ白なリネン素材のポケットチーフを使うのが原則です。
【参考】リネンのポケットチーフはこちら
シルク
もっともポピュラーな素材と言えるのが「シルク」。ラグジュアリーな光沢感があるため、コーディネート全体をクラスアップできるのが大きな魅力です。色柄の種類が多く、個性が演出しやすいのも特徴です。
柄で選ぶ
ポケットチーフの柄は意外と多様。ネクタイに使われているような定番柄が使いやすくておすすめです。ここでは、そんな柄を5つピックアップして、柄が与えるイメージを解説。存在感のある大きな柄はカジュアル、控えめで小さな柄はエレガントな印象になるというセオリーも踏まえつつセレクトしましょう。
無地
他のアイテムと同じように、ポケットチーフでも「無地」はオールマイティーに使用可能。もっとも控えめでエレガントな柄とも言えます。模様の印象がないため、素材や色味の印象が際立つのもポイントです。
ドット柄
「ドット柄」は基本的に華やかなムード。ただし、ドットの大きさによって印象は大きく変わります。柄が小さい「ピンドット」は、かなり上品な印象でおすすめです。地色とドットの色使いでも印象が変わりますが、どちらかが白だと定番的で使いやすくなります。
ストライプ柄
ビジネススタイルで定番の「ストライプ柄」は、上品かつスマートな印象。合わせやすいのに存在感があり、さり気ないアクセントがほしいときに重宝します。柄のラインがポケットチーフの畳み方を強調するので、アレンジがしやすいのもポイントです。
チェック柄
ややカジュアルなイメージがある「チェック柄」ですが、柄の種類によって印象が大きく変わります。「グレンチェック」や「ハウンドトゥース」などは上品。「ギンガムチェック」や「タータンチェック」、カラフルなチェック柄はカジュアルな印象を与えます。コーディネートのテイストに合う柄を選べば悪目立ちせずおしゃれです。
ペイズリー柄
クラシックな印象を演出できるのが「ペイズリー柄」です。柄が落ち着いた雰囲気なので、明るい色合いなどを選んでも派手な印象になりにくい特性があります。小紋柄もペイズリー柄に近い印象なので、同じように活用可能です。
色で選ぶ
ビジネススタイルでは小物同士の色や素材を揃え、統一感を生み出して品良くまとめるのがルール。ポケットチーフも悪目立ちしないようなカラーを選ぶのが原則です。応用的な色の選び方も解説しますが、まずは他のアイテムと色を揃えてコーディネートになじませるところから始めましょう。
シャツの色と合わせる
ポケットチーフの色はシャツと揃えるのがセオリーです。最近は以前ほど厳密ではありませんが、ビジネススタイルにおいて統一感は重要。シャツとポケットチーフの色を揃え、上品な印象を演出しましょう。カジュアルなスタイルでも統一感があるとスタイリッシュに仕上がるので、両者の色を揃えるのが基本。フォーマルなスタイルでは、白いシャツと同色の白いポケットチーフを挿すのが原則です。
ネクタイの色と合わせる
シャツではなく、ネクタイに使われている色とポケットチーフの色を揃えるのも定番的な着こなしです。統一感を増すために、色だけでなく柄を揃えるという手も。ネクタイとポケットチーフがセットになった商品もあるので、手軽にリンクすることも可能です。その一方、色だけ揃えて柄を少し変えたり、色の明るさを少し変えたりと、ちょっとした変化を加えると胸に立体感が出てこなれた雰囲気が生まれます。
差し色として
ポケットチーフを差し色として活用する着こなしもあります。フォーマルスタイルの定番である白のポケットチーフは、ほかのアイテムで白が使われていないコーディネートではクリーンなアクセントに。清潔感が演出できます。フォーマルスタイルでは、シルバーのポケットチーフをさり気なくリュクスなアクセントとして活用する人も増えています。ビジネススタイルやカジュアルなスタイルでは、あえてコントラストの効いたカラーを選んで個性を主張する上級者も。とくにノータイのジャケットスタイルでは、ポケットチーフを差し色として使うと華があってバランスも良いコーディネートにまとまります。
まとめ
最近はネクタイを締めないジャケットスタイルが増加。そのため、Vゾーン周辺に華を添えるアクセントとしてポケットチーフが重宝され、幅広いシーンやコーディネートで使われるようになっています。どんなコーディネートでポケットチーフを活用するにしても、ここで紹介したポイントさえ押さえれば使いこなすのは難しくありません。まずはリネン製の白無地から揃え、シンプルなTVフォールドで使いこなしてみませんか? ちなみに〈SOLVE(ソルブ)〉でもポケットチーフをリリースしていて、シルク製の落ち着いた柄が充実。ビジネスシーンなどで重宝します。
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