2024/11/28

出張に最適なスーツとは？基本の選び方や収納方法を解説

スーツ

企画：SOLVE編集部文章：平格彦(AllAbout「メンズファッション」ガイド／編集者／ライター)

出張時のスーツ選びの基本

>出張時のスーツ選びの基本

出張する機会が多く、しかも出張先でスーツを着るケースが多いなら、そのための準備をしたり、出張先でメンテナンスしたりできるようにしておくのがおすすめ。シワが入らないようにするだけで、出張先でスーツを着るのが苦にならなくなります。まずは、出張に適したスーツの選び方について解説しましょう！

目的地と期間に応じて選ぶ

当然ではありますが、目的地の気候や気温に合わせたスーツを選ぶのが大前提です。最近は、ウェブやアプリで世界中の天気や気温がすぐに調べられますので、調べてから旅の支度をするようにしましょう。

また、現地での滞在期間が長くなればなるほど、出張中に天気や気温が変わる可能性も高くなります。そこまで予測してスーツを揃えられたら万全です。

それと同時に、滞在期間が長くなるほど現地でスーツのメンテナンスを行う必要性も高まるため、長期間の出張ではメンテナンスしやすいスーツを選ぶことも重要。一般的には、ウール100％よりもポリエステルを混紡した生地のほうが速乾性や耐久性に優れていると言われていますが、使われている生地の特徴を把握してからスーツを新調するのがおすすめです。

シワになりにくい素材と色を選ぶ

スーツでもっとも厄介なのは「シワ」です。そのため、そもそもシワが入りにくい生地を使ったスーツを選ぶと、ケアが格段に楽になります。

もっともわかりやすいのは、「防シワ加工」が施されたスーツです。着心地を損なわずシワが入らないように仕上げたスーツも増えてきましたので、活用しない手はありません。出張時はもちろん、普段のケアもイージーになりますので、防シワ加工のスーツを試してみてください。

多様な場面に対応できるデザインを選ぶ

出張中の荷物はできる限り少ないほうがベター。1着のみでいろいろなシーンに対応できるスーツがあると、シーン毎にスーツを変える必要がなくなり、荷物は減ることになります。出発前には仕事以外の用事はないとしても、出張先で食事やイベントに誘われることもあるかもしれません。その意味でも、いろいろな場面に対応できるスーツがあるに越したことはないはずです。

基本的には、ダークネイビーかブラックの無地のスーツがあれば、幅広いシーンに対応可能。白無地のシャツとシンプルなネクタイがあれば、フォーマルに近いコーディネートも構築できます。

出張に最適なスーツケース内の収納方法

出張に適したスーツを選ぶだけでなく、スーツを持ち運ぶ際の収納方法も重要です。シワを防ぐという意味では、スーツを小さく折らずに持ち運べるガーメントバッグを使う方法が最適。宿泊先のホテルなどに着いたらそのままクローゼットに掛けられるのも便利です。

ただし、ガーメントバッグを手で持つ荷物が増えてしまうというデメリットもあるため、移動のしやすさを考えるとスーツケースに収納できたほうがベターです。ここでは、スーツをスーツケース（トロリーケース、キャリーケース）に収納する際のコツを紹介します。

スーツを折りたたむ正しい方法

シワが入らないように収納するためには、スーツのたたみ方が大切です。おすすめは、ジャケットとパンツを一緒にたたみ込む方法。それでも何種類かたたみ方がありますが、ここではおすすめの2種類を紹介します。

まず最初にパンツをたたんでおきます。
①パンツの中心に上下に入っているクリースライン（センタープレス）で両足を揃え、クリースラインが横に来るように置きます。
②パンツの裾からバランス良く三つ折りにしてください。
③たたんだパンツは後ほどジャケットにセットします。

ジャケットのたたみ方は主に2種類。最初はジャケットが正面を向く定番的な折りたたみ方から紹介します。
①まずボタンを留めたジャケットを平らな場所にうつぶせに置きます。
②袖を片方ずつ、襟と肩の中間くらいで縦に折って背中に置くようにします。
③裾付近にたたんだパンツを置き、ジャケットの上半分を折ってパンツを包んだら完成です。

続いて、よりコンパクトにまとまるたたみ方です。
①まずはジャケットのボタンを開けて襟を立て、前側から片方の袖に手を入れます。
②その袖を引き抜き、裏返しにして反対側の袖の中に通します。
③襟の左右と両袖をそれぞれできる限りぴったり合わせ、ジャケットを縦半分に折ります。
④その上にパンツを置き、2つか3つに折って包みこんだら完成です。

シワを防ぐパッキングテクニック

スーツが型崩れしてしまうと、不自然で目立つシワが生まれてしまいます。スーツの美しいシルエットやフォルムも崩れてしまうため、型崩れは防がなければなりません。重要なポイントは、肩パッドなどが入っている「肩周り」。潰れてしまうと型崩れが起きるため、他の衣類、荷物、タオルなどを肩の内側に詰めて、潰れないようするのがおすすめです。

また、スーツを圧迫しないように収納するのも不要なシワを生まないポイント。そのためには、他の荷物でスーツを押し付けないようにパッキングする必要があります。とくに、重い荷物の下敷きになってしまうような状態は絶対にNG。スーツケースは立てて持ち歩くだけでなく横にすることもあるため、どちらも想定しながら内部のベルトや仕切り、他の荷物で固定して潰れないように工夫してみてください。

また、畳んでいる状態が長いほどシワが生まれるリスクも高まるため、できる限り短い時間にするように意識することも大切。ホテルなどに着いたら、すぐにハンガーに掛けるようにしましょう。

革靴とネクタイの効率的な収納

スーツに合わせる革靴も、スーツケースに入れる際はコツが必要なアイテムです。まず、左右の靴同士が擦れて革が傷んでしまうのを防がなければなりません。そのためには、左右の靴が別々に入れられるようなシューケースを使うの最善策。型崩れを防ぐためにシューキーパー（シューツリー）を靴に入れられたら万全です。革靴は重さがあるため、スーツケースを立てた際の下の方の入れておくと移動しやすい重量バランスになります。

また、スーツスタイルにはネクタイも欠かせません。スーツケースの収納スペースに余裕がある場合は、ネクタイ用のケースを使用するのがベターです。あまり余裕がない場合は、ネクタイをロール状に巻いて靴や帽子などの中に入れて収納するのがおすすめ。ネクタイが圧迫されて不要なシワが入るのを防ぎながら、収納スペースも節約できます。

革靴もネクタイも、宿泊先に着いたらすぐに取り出すのを忘れずに。靴は湿気がこもらないような場所に置き、ネクタイはシワを防ぐためハンガーなどに掛けておきましょう。

長距離移動でもスーツを美しく保つコツ

スーツをしっかり収納できたとしても、移動が長距離になればなるほど、シワが入ってしまう可能性は高まります。そんな時のために、収納方法以外で気をつけるべきポイントや対処法などもまとめておきます。

機内や車内でのスーツケア

スーツケースにきちんとパッキングしているのであれば、移動中にスーツのためにできることはほとんどありません。しかし、スーツを着用して移動しているのであれば、着用しているスーツに対してできることがあります。

それもやはり、余分なシワが入らないように気をつけることです。まずは、座っている際、荷物を膝に乗せる際などの圧力でシワが入らないように気をつけましょう。また、スーツの生地は原則として濡れるとシワが入りやすくなるため、濡れないようにしつつもしも濡れたらすぐに拭くようにするのも大切です。

また、飛行機や新幹線では、席に着いたら可能な限りジャケットは脱ぎ、掛けられる場所があるならハンガーで吊るすのが賢明。周囲に迷惑が掛からなければ、シワ取りスプレーなどでシワを取っておくのもおすすめです。ハンガーに掛けるのが難しい場合は、すでに解説した方法でジャケットを正しくたたみ、膝の上や荷物の上などに置いておくのがベターです。

到着後すぐにできるシワ取り方法

ホテルなどの宿泊先に到着したら、スーツをすぐにスーツケースから取り出し、ハンガーに掛けてクローゼットに収納するのがおすすめ。シワが入っている場合は、シワ取りスプレーなどを散布してから掛けておくといっそうシワが取れます。シワ取りスプレーがない場合は、霧吹きで少し湿らせるだけでも効果があります。また、浴槽にお湯をはって浴室にスーツを掛けておくことで、その蒸気や湿気でスチームをあてたような効果を生み出すという手も。2〜3時間ほどで浴室から出し、その後は湿気を取るようにしましょう。

細いハンガーしかなく、ジャケットを掛けた際に肩周りがぶかぶかになってしまう場合は、肩の内側にタオルなどを入れて隙間を埋めると肩周りのシワが取れやすくなります。

また、ホテルなどの宿泊施設には、スチームアイロンやズボンプレッサーが部屋に常備してあったりフロントで借りられたりする場合も多いため、そうした道具を使ってしっかりシワを取るという手もあります。

急なシミやほつれへの対処法

移動中や出張先でスーツが汚れてしまった場合も、すぐに落とすようにしましょう。汚れやシミは時間が経つほど落としにくくなるのが原則だからです。

ちょっとした汚れなら、拭いたりブラッシングしたりすることで落ちる場合も少なくありません。シミなどの汚れは落とし切るのが難しいケースもありますが、クリーニングに出す前に応急処置しておくことが重要。汚れに種類によって処置の方法が異なるので、簡単に解説しておきます。

まず、コーヒー、ジュース、ワインなどは「水溶性」の汚れです。その場合は、生地の裏側にティッシュペーパーなどを当てて、汚れの上から湿らせたハンカチなどで叩いて汚れをティッシュペーパーに移すようしましょう。

口紅やマヨネーズなどは「油溶性」の汚れ。ティッシュペーパーやハンカチなどで油分を吸い取った後、少量の石鹸をシミになじませます。そこからの処置は水溶性と同様。最後にティッシュペーパーなどで水分や石鹸を拭き取りましょう。

水にも油にも解けない汚れは「不溶性」で、血液や泥がそれに当たります。汚れた部分に洗剤をつけ、軽くもみ洗いするのがおすすめ。その後の処置は水溶性と同様で、最後は洗剤を拭き取りましょう。いずれの汚れも、出張が終わったらクリーニングに出すのがおすすめです。

また、移動が多いからこそスーツのステッチなどがほつれてしまう事態に見舞われることもあるでしょう。そんな時のために、裁縫セットを携帯しておくのがおすすめです。スーツに付属している共布や補修テープ（補修シート）も常備しておくと、生地がほつれたり破れてしまった場合も応急処置ができます。

出張先でできるスーツのメンテナンス

1〜2泊の出張ならともかく、それ以上の長期の出張となる場合は、滞在中のさらなるメンテンスが重要となります。出張先でできるメンテンナンス方法を改めて紹介しますので、状況に応じて活用してみましょう！

ホテルではハンガーを使う

ホテルなどの滞在先では、スーツはハンガーに掛けてクローゼットに入れておくのが基本。ハンガーが細くてジャケットの肩周りに隙間ができてしまう場合は、ジャケットの内側にタオルなどを詰めて隙間を埋めておくと、ジャケットの重さで肩周りのシワが自然と取れるようになります。

また、パンツはピンチ（洗濯バサミ）付きのハンガーか専用ハンガーに裾で留めて吊り下げておくと、パンツ自体の重みで伸びてシワが減るので便利です。

ガーメントバッグに入れている場合はそのままクローゼットに掛けてもOK。湿気だけは籠もらないように気をつけましょう。

携帯用アイロンやスチーマーを持参する

出張先でもアイロンやスチーマーが使えたら万全です。最近は携帯しやすいアイロンやスチーマーも増えていますので、出張が多い人は購入しておくと重宝します。

また、ホテルなどの滞在先でアイロンやスチーマーが部屋に常備されていたり、フロントなどで借りられたりするケースも増えています。そうしたサービスを活用するのも賢い手段です。

緊急時のドライクリーニングサービスを活用する

店舗はかなり限定されますが、ドライクリーニングを当日中に仕上げてくれるサービスもあります。また、当日は難しくても数日で仕上げてくれるケースもあります。

出張先では引き取り忘れるリスクもありますので、クリーニングを使わないに越したことはありませんが、もしもの時に状況が許す限りは現地でドライクリーニングサービスを活用するのもひとつの方法です。

出張時のスーツコーディネート

出張中はあり余るほどスーツがわけではありません。だからこそ厳選する必要がありますし、コーディネートを工夫して着回す必要もあります。そのためのポイントを解説しますので、参考にしてスーツを存分に着回しましょう！

行き先の気候や社風に合わせる

大前提として、出張先の気温や気候にマッチするスーツを選ぶことが重要です。もしも暑いエリアへの出張なら、それに対応できる通気性の高いスーツでないと仕事に集中できない可能性もあります。もちろん、その逆も然り。移動が多いだけで疲れるものなので、できる限り快適に過ごせるスーツを選ぶようにしましょう。

その上で、インナー、シャツ、シューズなどのアイテムも気候に合わせるのがおすすめです。暑くて雨が多い地域なら、通気性や速乾性に優れる高機能なインナーとシャツ、防水性と透湿性と兼備するシューズなどを活用すると、快適に過ごせます。

また、現地の文化や訪問先の社風に合ったスーツを選ぶのもおすすめ。特に、堅実な業界や企業に訪問する際は、出張であっても品位のある正統派のスーツスタイルを心掛けるようにしましょう。

1着で複数の着回しテクニック

スーツの長所のひとつは、合わせるシャツや小物によって印象が大きく変わるという点。たとえスーツが1着でも、シャツやネクタイをガラッと変えることで、日によって異なるスーツを着ているように演出することも可能です。

例えば、白シャツに無地のグレータイを合わせたクールなコーディネート、サックスブルーのシャツにネイビー基調のネクタイを合わせた爽快なコーディネート、ピンクのシャツに暖色系のネクタイを合わせた情熱的なコーディネートでは、印象が大きく異なります。シャツやネクタイは多めに持っていってもスーツほどはかさ張らないため、スーツを増やすよりもシャツやネクタイを増やしたほうが荷物の量が抑えられます。

カジュアルダウンの方法

出張中だからこそ、ビジネスシーンでカジュアルダウンが許される場合もあります。また、仕事が終わった後は完全体のスーツスタイルである必要もないはずです。そうだとすれば、ネクタイを外してもサマになるワイドカラーのシャツを活用し、状況に合わせてノーネクタイでも着用できるようにしておくのが賢明です。

また、スーツに近いセットアップを活用することで、ジャケパンスタイルに着崩せるようにしておくのも賢い着回し法です。スーツは上下セットで着用するのが原則ですが、セットアップならジャケットとパンツをそれぞれ単体でも使えるので、その分だけ着こなしの幅が広がります。さらに、セットアップの場合はインナーをシャツに限定する必要がなく、ポロシャツやTシャツもマッチします。着崩す機会が多い場合はセットアップも活用しましょう。

ビジネス出張におけるスーツ以外の必須アイテム

スーツだけではスーツスタイルはコーディネートできません。スーツスタイルに必要なアイテムを紹介しておきますので、改めて確認してみてください。とくに重要なのはシャツとネクタイ。多めに用意しておけば、出張先でもコーディネートのアレンジが楽しめます！

シャツ

スーツスタイルにおいて大切なVゾーンの基盤となるのがシャツです。定番カラーはサックスブルーか白の無地。この2色は汎用性が高く、合わせるスーツやネクタイを選ばず幅広く使えます。とくにサックスブルーはビジネスシーンにおける大定番のカラーです。

また、ダークなスーツに白いシャツを合わせるとフォーマルなムードが演出できます。出張先で冠婚葬祭やそれに近い場に参列する予定がある場合は、白いシャツを必ず用意するようにしましょう。

ネクタイ

シャツとともにVゾーンを構築する重要なアイテムがネクタイです。オールマイティーに使えるのはネイビーの無地。レジメンタルストライプ、小紋、ドットなどの定番柄も幅広く使えて重宝します。

素材は艷やかなシルクが王道ですが、あえてマットなウールやリネンを使ったネクタイを選んで、こなれ感を演出するという手もあります。

一般的にネクタイは、素材や作りが高品質なほどシワが取れやすいので、出張用として上質なタイプを揃えておくのもおすすめです。

革靴とベルト

スーツスタイルにおいて、靴とベルトは色や素材を揃えるのが基本ルール。統一感が生まれてより品良く映るからです。つまり、色ごとに革靴×レザーベルトのセットを用意する必要があります。ベルトはともかく革靴は少しかさ張るため、出張には最低限のセットで問題ありません。

ジャストサイズのスーツを着るのでベルトは不要だと感じるかもしれませんが、スーツのジャケットは１番下のボタンを外すのが基本ルール。ウエスト部分が意外と目立つので、ベルトがあるとないとでは印象は意外と変わります。

防寒や雨対策のアウター

出張先の気候や天候によっては、アウターも必要となります。スーツスタイルだけでは保温性に限界があり、雨が凌ぎにくいこともあるからです。そのため、現地の状況に合わせて防寒性の高いアウターや防水性に優れるアウターを活用するようにしましょう。

どんなアウターを選ぶにしても、スーツスタイルの品格を損なわないようにシンプルなデザインを選ぶのがセオリーです。

出張スーツに関するよくある質問

最後は、出張時のスーツに関してよく聞かれる典型的な質問をピックアップ。ポイントを解答します。すでに解説してきた内容と重複する部分もありますが、確認する意味でも改めてチェックしてみてください!!

何着持っていくべき？

滞在期間によって必要なスーツの数は変わりますが、2着あると順番に着用することができるので便利です。出張に向かう移動時にもスーツを着用するのであれば、もう1着をスーツケースなどに収納すれば良いだけ。着終わったらシワを伸ばして1日休ませるようなローテーションにすれば、10日程度の出張にも対応できます。

ただし、2週間以上となるような長期間の出張なら、もしもの時のために3着あったほうがベターです。

海外出張時の注意点は？

海外への出張は移動時間が長くなるため、スーツにシワが入ってしまう可能性が高くなります。そのため、宿泊先でメンテナンスできるように準備しておく必要性も高まると考えてください。国によってホテルなどのサービスが異なることもあるため、アイロンやスチーマーなどを持参したほうが良い場合もあります。

また、海外のビジネスシーンではブラックのスーツは避けたほうが賢明。必要以上にフォーマルな印象を与えてしまい、違和感を持たれてしまうからです。日本では許容されていますが、海外においては黒のスーツはビジネスシーンにマッチしないと考えてください。シャツもフォーマルな印象の白より、サックスブルーが定番となっています。