スーツはスラックスの裾で印象が変わる!
スーツの着こなしには厳格なルールがあります。だからこそ、選択可能なディテールが印象を大きく左右するものです。その1つがスラックスの「裾」。裾には種類がありますし、裾の長さ(裾丈)もわずかにアレンジする余地があります。つまり、スーツスタイルでパンツの裾にこだわらないのは、すべての印象を台無しにしてしまいかねない愚かな行為。おしゃれなスーツスタイルは、パンツの裾までこだわってこそ完成するのです。
スーツ(スラックス)の裾の種類
スラックスの長さに関して説明する前に、スラックスの裾の仕様について解説しておきましょう。「シングル」と「ダブル」の特徴が、長さを決める要素としても関わってきます。
シングル
パンツの裾を折り返していない仕様が「シングル」。欧米では「プレーン」と呼ばれています。足元がシンプルかつスッキリした印象になり、幅広いシーンに対応するのが大きな特徴。とくに細身のパンツと相性が抜群です。フォーマルなシーンではシングルが基本で、ビジネスシーンでもシングルにしておけば間違いありません。
ダブル
パンツの裾を折り返した仕様が「ダブル」。欧米では「ターンナップ」や「マッキン」などと呼ばれています。起源は諸説ありますが、水溜りで濡れたり泥で汚れたりするのは避けるために生まれた仕様とも言われ、比較的カジュアルでスポーティーな仕様です。パンツの裾を折り返すことがボリューム感が生まれるため、ボリュームのある靴と好相性。また、折り返した分だけ重みが増すため、パンツを下に引っ張ってシワが伸びやすくなる効果もあります。折り返す幅によって印象が変わりますが、スーツのスラックスでは3.5cm〜4cmが定番。トレンドによって折り返し幅の主流も変わりますが、コーディネート全体のバランスも重要なので、スーツや靴のフォルム、体型などとの調和も考慮するようにしましょう。
スーツ(スラックス)の長さを測る際の注意点
スーツスタイルでは、スラックスの長さ(総丈)を「裾丈」や「裾の長さ」とも表現します。それは、パンツの総丈がわかるのは裾(の位置)だから。逆に言えば、股下などの長さだけでなく、他の要素も裾の丈感に影響を与えます。そのため、裾の長さを測る前提として、正しくスラックスを穿いて他の条件を一定にすることが必要です。とくに、ウエストの位置が腰骨にくるようにきちんと穿くことが重要。ベルトも着用できたら万全です。また、他の条件としては靴とのバランスも大切。いつも使っている靴を履いてスラックスが試着できたら万全ですが、お店に用意してある革靴を借りるだけでもチェックしやすくなります。さらに、長さを測ってもらっている間はあまり動かず直立の姿勢をキープ。そうして初めて正確な長さが測れます。
スーツ(スラックス)の長さ定番3タイプ
スラックスの裾丈は、定番的な目安が3タイプあります。「ワンクッション」「ハーフクッション」「ノークッション」それぞれについて解説しますので、特徴を踏まえて選びましょう。ちなみに「クッション」とは、パンツがたるんで生まれる「シワ」のことです。
ワンクッション
スラックスの裾が靴に乗り、はっきりと1つ程度のシワが入る裾丈が「ワンクッション」。足元に重厚なイメージが生まれるのが大きな特徴で、以前はワンクッションからツークッションが定番でした。本来はビジネスシーンからフォーマルシーンまで対応する主流ですが、最近はビジネススーツでワンクッションを選ぶ人が少なくなっています。
ハーフクッション
最近の定番は「ハーフクッション」。スラックスの裾が靴に当たり、少しだけシワが入っているような丈感です。ワンクッションよりも少し裾丈が短く、適度にスッキリしていながら、品格も損なわれていない絶妙なバランスが最大の魅力。幅広いシーンに対応するので、ビジネススーツはハーフクッションするのが今のイチ押しです。
ノークッション
スラックスの裾が靴に当たらず、シワが入っていない状態が「ノークッション」。シワがないため、スマートでスタイリッシュな足元になります。その一方、立った状態でもソックスが少し見えてしまうため、カジュアルな印象に。正統派のスーツスタイルではNGですが、カジュアルなセットアップスタイルやビジカジスタイルなどで、軽快感を演出するのに向いています。
スーツ(スラックス)の長さを決めるときのポイント
スラックスの裾丈は、外部要素との相性もあります。主な要素は「シルエット」と「シーン」。それぞれのポイントを解説しますので、それを踏まえてスラックスの長さを決めましょう!
スラックスの「シルエット」で決める場合
スラックスのシルエットによって、選ぶべき長さのタイプは選択肢が絞られます。相性の良さやポイントをまとめますので、きちんと把握しておきましょう。
細めのスラックスの場合
スラックスが全体的に細身か、裾を細めに絞ったテーパードシルエットの場合は、「ハーフクッション」〜「ノークッション」がおすすめ。大きくシワが入ると、スラックスの美しいシルエットが崩れてしまうからです。また、裾が細いと靴に引っ掛かる可能性があり、それを防ぐためにも短めにするのがベターです。ただし、短すぎるのはNG。裾丈が短くなるほどカジュアルな印象になるため、ノークッションでもくるぶし丈(アンクル丈)よりも長めに設定し、ハーフクッションに近い印象にするのがおすすめです。
太めのスラックスの場合
スラックスのシルエットが太めの場合は、「ハーフクッション」〜「ワンクッション」がマッチします。裾幅に余裕があるとキレイにシワが入るため、その特徴を活用するのがおすすめ。重厚感やクラシック感、フォーマル感が演出できます。反対に、ノークッションは避けるのが賢明。裾が太いほど足首との差が明確になり、裾丈の短さが際立ってしまうからです。
「着用シーン」で決める場合
スーツを着用するシーンによって、スラックスの長さがある程度は決まってきます。逆に言えば、シーン毎のルールを知らないと恥をかくことになりかねないので、ここでポイントを押さえておきましょう。
ビジネスシーン
ビジネスシーンでは最近、上品でありながらスッキリした印象も感じさせる好バランスな「ハーフクッション」が主流となっています。「ワンクッション」以上のシワが入ると少し野暮ったい印象になってしまいますので、注意しましょう。カジュアルなセットアップ感覚で着こなしたい場合は「ノークッション」でも問題ありませんが、職場のドレスコードを考慮するのも忘れずに。堅めの職場ではノークッションは避けましょう。
フォーマルシーン
フォーマルなシーンでは、足元まで品格のある着こなしを徹底するのが原則。そのため、カジュアルなノークッションはNGです。立った際にソックスが見えない「ワンクッション」か「ハーフクッション」を選びましょう。その中でも、重厚感やクラシック感が演出できるワンクッションがおすすめです。
【まとめ】迷ったらプロに相談するのがおすすめ!
あまり目立たないようにも思えるパンツの裾ですが、スーツスタイルに慣れている人は必ずチェックするポイントです。また、スーツに詳しくない人でも意外と目につく先端に近い部分なので、全体の印象に少なからず影響を与えます。重要性が理解できたからこそ迷ってしまう場合、細かいことは考えたくない場合、ビジネススーツではパンツの裾を「シングル」&「ハーフクッション」にしておけばOK。さらに迷うようなら、プロに相談すればすぐに解決できます。〈SOLVE(ソルブ)〉ではオーダースーツの採寸、試着サービスも行っていますので、その際に裾の仕様や長さに関しても相談してみてはいかがでしょう? また、オーダースーツのスラックスや「楽スラ」の裾丈はお直しサービスで調整できることもありますので、気軽に相談してみてください。
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