スーツ収納の基本原則
スーツは保管の際に気を使うアイテムで、収納時は意外とかさ張るアイテムでもあります。だからといってぎゅうぎゅうに詰め込んではシワが入ってしまいます。環境にあったスーツの収納方法を考えるには、必要なポイントを押さえておく必要があるので、まずは基本原則から解説しましょう!
直射日光から守る
スーツの大敵の1つが「日光」です。日差しが直接スーツに当たり続けてしまうと、生地に色褪せが生まれてしまう可能性があるからです。クローゼットなどに収納しておけば問題はありませんが、うっかり日の当たる場所に長時間ずっとスーツを置いたり掛けたりしないように気をつけてください。
湿度に気をつける
保管中のスーツの生地が傷んでしまう大きな要因は「湿度」です。湿気が高いとウールの繊維が部分的に縮み、生地がヨレヨレになってしまったり毛羽立ったりしてしまうことがあります。また、湿度が籠もってしまうと雑菌が繁殖し、臭いが発生してしまうことも。虫食いの原因にもつながりかねません。部屋の湿度が高い場合は、除湿剤や防虫剤なども利用し、スーツを守るのがおすすめです。
通気性を確保する
湿気が籠もらないようにするには、風通しの良い場所に置くのがもっとも効果的です。24時間いつも換気されていているなど、常に通気性が高いような場所が理想的ですが、クローゼットのなかなどはそうもいきません。その場合はとにかく、しっかりと陰干ししてからクローゼットに収納するのがおすすめです。通気性が確保できない場合はやはり、除湿剤などを活用して湿度を抑えるようにしましょう。
ハンガーの選び方と使用方法
スーツはハンガーに掛けて収納するのが基本です。ただし、ハンガーなら何を使っても良いというわけではありません。ここでハンガーの選び方とかけ方をレクチャーしますので、きちんと選んで丁寧にスーツを収納しましょう!
最適なハンガーの形状と素材
ジャケット用として最適なハンガーは、ジャケットの肩周りにフィットする太さと湾曲した形状のタイプです。肩にフィットすることで無駄なシワが増えず、シワを伸ばす効果にもつながり、肩周りの型崩れも防げます。スーツ用のハンガーは、ハンガーの下にバー状のパーツがついていて、そこにパンツを折ってかけられるタイプが一般的です。
パンツを単体でかける場合は、クリップ式のタイプがおすすめです。クリップといっても丸みのある太めのバーで挟む仕様で、パンツに跡がつかないようになっています。
ジャケットの正しいかけ方
まずは、肩の位置がズレていないかをチェック。せっかく最適なハンガーを選んでいても、肩の位置が合っていないと意味がないからです。
そして、フロントのボタンはすべて外すのが基本。ジャケットは、肩の部分と同じく胴体も人の体にフィットするように立体的に作られているため、胴体がない状態でボタンを留めると不自然なシワが入ったり型崩れしたりする原因になるからです。
パンツの折り方とハンガーの使用法
パンツをジャケットと同じハンガーのバーにかける際は、センタークリースに沿って縦半分に折り、足をピッタリ重ねてからかけます。その際は、スラックスの半分よりもやや上でかけるようにすると、重心が整って落ちにくくなります。どうしてもパンツずり落ちる場合は、バーがダブルのタイプを選ぶようにしましょう。2本のバーで挟んでしっかり固定できます。
クリップ式のハンガーを使用する際も、センタークリースに沿って縦半分に折るまでは同じ。腰周りをクリップで挟んで固定するのが一般的です。ただし、裾で留めたほうがパンツ自体の重さで引っ張られる力が強くなるため、シワが伸びやすくなります。
クローゼットでの効率的な収納テクニック
スーツはクローゼットに収納するのが基本ですが、空間に余裕がない場合は、ちょっとした工夫も必要です。ここに挙げるポイントを意識することでスペースを有効活用し、使い勝手の良い状態で収納するようにしてください。
スーツの分類方法
収納する際は、スーツを一定のルールに則って並べるのがおすすめです。ルールはいろいろありますが、効率を優先するなら、「ローテーションの順番」で並べる方法が重宝。着た順番に並べ、そのローテーションのまま次に着るようにすれば、どのスーツも公平に休ませることができ、スーツが長持ちします。
コーディネートのしやすさを優先するなら「カラー別」で並べるという方法も。気分に合わせてスーツのカラーを選び、さらにシャツや小物が選べたらおしゃれが楽しみやすくなります。
季節ごとのローテーション
上記の細かい分類の前に、季節に合わせたローテーションを考慮するのが大前提です。着用するスーツは季節によって変わるため、それに合わせて分類するようにしましょう。
スーツは主に「春夏用」「秋冬用」「オールシーズン」に分けられるので、その季節に着用しないスーツはケアをしてしまい込み、長期保管するのがおすすめ。その時の気候や気温に合ったスーツだけがすぐに取り出せるように並んでいる状態が理想です。
小物類などとの組み合わせ
スーツスタイルはスーツだけで完結するわけではありません。とくに、シャツやネクタイとのコーディネートも考える必要があります。そのため、合わせるアイテムも一緒に選べるようにして収納できたら使い勝手が向上します。
その時期に着用するスーツのとなりに季節感のマッチするシャツやネクタイを並べ、季節外れの小物類は見えないようにするなど、スタイリングしやすい並べ方を工夫してみてください!
スーツの防虫・防カビ対策
スーツにとっては虫食いやカビも天敵です。スーツを収納する際は、それらを防ぐ方法も取り入れなければなりません。おすすめの対策を紹介しておきますので、参考にしながらスーツをしっかり守ってください!
除湿剤の効果的な使用方法
風通しが良い場所に収納できるなら、除湿剤は必要ありません。しかし、クローゼットなどの閉鎖的な空間は風通しが悪くなるため、除湿剤を活用するのが賢明です。除湿剤は密閉された空間でこそ威力を発揮するため、クローゼットの扉は開けっ放しにせず閉めるが原則。スーツにカバーをかけて使用するという方法もあります。
また、除湿剤は意外といろいろなタイプがあるので、スーツをかけたままで収納するなら吊り下げタイプ、畳んで収納するならシートタイプ、収納スペース全体に対してはタンクタイプなど、状況に合わせて最適なタイプを選んでみましょう。
いろいろな選択肢がある防虫対策
スーツに虫食いを引き起こす害虫は基本的に湿度が高い環境を好むため、除湿するだけでもある程度の防虫効果は望めます。しかし、しっかりと対策を行うなら、防虫剤などを利用したほうが万全。クローゼット用や引き出し用はもちろん、スーツ用のカバー自体が防虫仕様になっているタイプもあって便利。さらに、植物由来の成分のみを使ったボタニカルな防虫剤などもあります。
レッドシダーという木材やハッカ油など、天然素材を使った防虫方法もありますので、自分の好みや環境に合う防虫対策を講じてみましょう!
定期的な点検とメンテナンス
除湿剤にも防虫剤にも有効期限があるため、いつまでに交換すべきかわかるようにしておくのがベターです。期限を確認した際には覚えたと思っても、意外とすぐに忘れてしまうものなので、メモしたりスマホのカレンダーに入れたりして、記録しておくのがおすすめです。
期限が迫ってきたら除湿剤や防虫剤を交換すれば良いだけなので、期間さえ把握しておけば大丈夫。除湿剤や防虫剤を交換するタイミングで、ついでにスーツの状態を確認したり、ブラッシングなどのメンテナンスを行ったりするようにしましょう。
スーツの長期保管時の注意点
スーツは短期で収納するのと長期で保管するのとで注意点が少し異なります。長期になればなるほどスーツが同じ状況で固定されることになるため、シワが入りやすくなるので注意してください。ここまでは短期の収納にも言えることなので想像しやすいとは思いますが、長期保管時の他の注意点も解説しておきます!!
クリーニング後の保管方法
スーツをクリーニングに出すと、たいれいビニールのカバーに覆われて戻ってきます。ホコリが入らないのでそのまま保管したくなりますが、それでは湿気が籠もってしまいます。また、針金の細いハンガーにかかっていることも多いので、そのままにしておくと肩周りなどにシワが増えてしまいます。
いずれにしても、クリーニングから戻ったままで保管するのはおすすめできません。ビニールのカバーから出し、適したハンガーにかけ直すのが基本。籠もった湿気を取り除くため、できればしっかり陰干ししてから収納するのがおすすめです。
圧縮袋の使用是非
圧縮袋を使っての保管は、どうしても他の手段がない場合の最終手段と考えてください。なぜなら、スーツを圧縮して保管すると、型崩れしたりシワが増えたりする原因になり、袋から出した後のケアがかなり大変になるからです。
もちろん、圧縮袋などで真空パックするメリットもあります。まずは、かなりコンパクトにできること。さらに、真空に近い状態になるため、湿気やカビも防げます。
ただし、デメリットのほうが大きいため、圧縮袋を使うのはおすすめできません。
防虫ケースの選び方と置き方
ハンガーにかける場合は防虫カバー、畳んでしまい込む場合は防虫ケースなど、収納するアイテム自体に防虫効果があるものを選ぶと非常に便利です。ただし、そうした防虫収納アイテムにも効果の期限はあるので、その点は注意しましょう。
防虫ケースを複数使用する場合、縦に積み上げるならそれに対応する硬さが必要ですが、横に並べるだけならソフトなタイプでも問題ありません。また、スーツは小さく畳む必要があるほどシワは増えやすくなるので、収納場所に合わせつつできる限り大きめのケースを選ぶようにしましょう。
スペースが限られている場合のスーツの収納アイデア
スーツはスペースに余裕をもって収納するのが理想ですが、クローゼットのサイズも限られているので、そうも言ってられません。そんな場合の解決策となる方法を5つ紹介します。方法は2つに大別でき、「スーツをコンパクトにまとめる」か「収納場所を増やす」かのいずれかです。
マルチハンガー
ジャケット用のハンガーは太さがあるタイプを選ぶ必要があるため、どうしてもかさ張ってしまいます。だからこそ、アンダーバーにパンツがかけられるタイプ、シャツがかけられる細いハンガーも付属しているタイプなど、マルチなハンガーを活用することで収納スペースが効果的に活用できます。
また、パンツをバーにかけるタイプのハンガーは場所を取らず、複数のパンツがかけられるタイプもあり。マルチレイヤーなどと呼ばれる構造で、多数のパンツがいっぺんにかけられるタイプまであります。そうしたマルチハンガーを活用すれば、収納スペースが有効活用できます。
折りたたみ収納
限られたスペースを効果的に活用するには、収納グッズを活用するのがおすすめです。折りたためる収納グッズなら、使わない時には場所を取られず重宝します。
廊下や部屋に置いて新しい収納スペースが作れるのもちろん、小型のタイプは収納スペースを小分けする際にも便利なので、折りたたみできる収納や小ぶりな収納グッズなども活用しましょう。
一時保管スペース
廊下の部屋の壁、玄関周りなどに、スーツを一時的に保管できる場所を確保するという手もあります。
あくまで一例ですが、着用したスーツは玄関周りにハンガーがけしてブラッシング後に陰干しし、その後にクローゼットに収納するようにすると便利。また、数日分のスーツ、シャツ、小物類は壁にかけて収納するなど、クローゼットと一時保管スペースの役割を決めて使い分けるとかなり実用的です。
トランクルーム
季節外れのスーツはトランクルームに収納するという方法もあります。トランクルームが近所にあればすぐに出し入れできますし、近くにない場合は宅配型のトランクルームを利用する手もあります。
空調設備がしっかりしたトランクルームなら、湿度や温度の面も安心。トランクルームを活用すると収納場所が拡大できますので、必要に応じて選択肢に入れてみてください。
スーツのケア用品と収納
スーツをクローゼットに収納する際は、いくつかのケア用品と収納用グッズが必要になります。すでに解説したハンガー以外に必要なものを改めてまとめておきますので、ぜひご参考に!
ブラシ
スーツを着用した後はブラッシングするのが原則。ホコリや汚れを取り除き、繊維の毛並みを整え、空気の通りを良くする効果があります。
スーツを脱いだ際にかけるハンダーと置き場所を決め、その近くにブラシも置いておき、すぐにブラッシングするのを習慣化してしまうのがイチ押しです。
シワ取りスプレー(消臭スプレー)
ブラッシングの後はシワを取るのが通常の流れです。その際にシワ取りスプレーを利用すると効果的にシワが取れます。防臭や消臭の効果があるシワ取りスプレーもあるので、そうしたグッズを活用して気になる臭いもケアしてから収納するのがおすすめです。
実は生地を湿らせるだけでもシワ取り効果は望めるので、スーツの生地に臭いが染み付くことが多い場合は、消臭効果を優先するという方法も。消臭スプレーでシワも軽減すれば良いのです。いずれにしても、陰干しして湿気を取ってから収納するようにしましょう。
スーツカバー
クローゼットに入れておいても他の衣類などのホコリなどが付着してしまうものです。それを防ぐには、収納用のスーツカバーを利用するのがおすすめ。その際は除湿剤も併用するのがおすすめ。カバーで覆うと密閉することになるため、除湿剤の効果も高まります。
また、スーツカバー自体に防虫効果があるタイプもあります。そうした機能的なスーツカバーも活用しながら、上手に収納してください!
スーツ収納に関するよくある質問
スーツの収納に関してよく聞かれることの多い質問と、それに対する回答を最後に紹介しておきます。スーツのケアに関する基本がわかってればそう難しくはありませんが、わかっていないと意外とミスしがちなので、ここでインプットしてしまいましょう。
クリーニング後すぐに収納してもいい?
スーツをクリーニングに出すとビニールのカバーに覆われて戻ってきますが、そのまま収納するのはNG。湿気が籠もってしまうからです。
ビニールのカバーからスーツを出し、適したハンガーにかけ直し、湿気をしっかり飛ばしてから収納するのがおすすめです。
カビが生えたスーツの対処法は?
スーツにカビが生えてしまったら、早めにクリーニング店に相談することが大切です。
白カビは繊維の表面にしか付着していないケースが多く、乾燥機で熱を加えて50度以上になると死滅すると言われていますが、そもそもスーツは乾燥機NGです。また、黒カビは繊維の奥まで達しているケースが多いものの、塩素系漂白剤で殺菌と脱色をするという対処法がありますが、そもそもスーツは漂白剤NGです。
結局、カビを見つけたらすぐにでもクリーニング店に相談するのが最善策です!!
旅行から戻ったスーツの収納方法は?
旅行や出張などでスーツを着た場合は、長い時間ずっと着用していたり、折りたたんでしまっている時間が長かったりするケースがほとんど。そのため、しっかりメンテナンスをしてから収納するようにしましょう。
ブラッシング→シワ取り→陰干しをしてからクローゼットなどに収納するのが基本です。
まとめ
今回はスーツの保管方法を多角的に解説しましたが、具体的にイメージできたでしょうか? ここまであえて触れませんでしたが、実は保管がしやすいイージーケアのスーツを選ぶという視点も重要です。
〈SOLVE(ソルブ)〉にはスーツと同じように着用できるセットアップが豊富で、防シワ性を備えたタイプもあります。シワが入りにくければ保管もしやすいので、選択肢のひとつとして詳細を確認してみてください!
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