2025/01/02

スーツのクリーニング頻度をケース別に解説！日常的なケア方法や長持ちのコツ

クリーニング

企画：SOLVE編集部文章：平格彦(AllAbout「メンズファッション」ガイド／編集者／ライター)

スーツクリーニングの基本

最近は家庭で洗えるウォッシャブルスーツも増えていますが、一般的にはまだまだスーツはクリーニングに出すのが基本です。どうしてクリーニングが必要なのか、家庭で洗うのと何が違うのか、そんなクリーニングの基本から解説します！

クリーニングが必要な理由

見た目はあまり汚れていないように見えても、スーツを着る度に汚れは付着してしまうものです。汗や皮脂など、内的な要因による汚れはもちろん、ホコリや飲み物など、外的な要因による汚れも蓄積してしまいます。それらを放置すると、生地が傷んだり、カビが発生したり、型崩れしたりする原因にもなりかねません。そうした汚れを溜めず、リセットするには、クリーニングが必要なのです。

家庭での洗濯とプロのクリーニングの違い

プロの手によるクリーニングは、汚れをしっかり落としながらも、生地に必要な風合いはキープできるのが大きなポイント。詳しく解説します。

上質なスーツ地にはウールやカシミヤが使われています。そうした天然素材は繊維に天然オイルを含んでいて、それが上質な風合いや機能性などにつながっています。そうした素材を家庭で洗濯すると、その天然オイルまで取り除いてしまうケースが多く、風合いや滑らかさが損なわれ、2度と戻らなくなってしまうのです。そればかりか、生地の繊維が傷んでしまうと縮みや型崩れにつながってしまい、さらに取り返しがつかない状況になってしまいます。天然繊維の風合いをキープしながら汚れをしっかり取り除くには繊細な仕事が必要で、プロのクリーニングながらこそ可能だと思ってください。

また、クリーニングは特殊な洗剤や高度な技術を駆使するため、黄ばみ、臭い、ツヤ感、シミなども取り除くことが可能です。一方、家庭での洗濯では十分に汚れが落ちないこともあります。

素材別のクリーニング方法

上質なスーツに使われているウールやカシミヤなどは水に弱い面もあるため、石油系溶剤を用いて洗う「ドライクリーニング」が適しています。

一方、ウォッシャブルスーツにも使われているポリエステルなどの化繊は、水で洗っても問題ありません。40～60度の温かい水と洗剤で水洗いする「ウェットクリーニング」で、生地へのダメージを抑えられる可能性もあります。

スーツのタグにある洗濯表示を確認すればどちらが適しているかわかりますが、素材によってクリーニングのタイプを使い分けてください。

適切なクリーニング頻度の目安

スーツをクリーニングに出す頻度は、1シーズン当たり1〜2回が適正だと言われています。着用回数でいうと20〜30回程度がクリーニングを利用する目安です。当然ながら、状況によっても適切な頻度は変わりますので、4つのパターンで解説します！

毎日着用する場合

もしもスーツを毎日のように着用しているなら、少なくても2カ月に1度はクリーニングに出すのが不可欠。言い換えれば、1シーズンに2回はクリーニングに出したほうが良い計算になります。ただし、季節や状況によってはもっと頻繁にクリーニングする必要があるでしょう。

そもそもスーツは毎日着用するものではなく、1日着たら2日ほど休ませるローテーションがおすすめです。

週に2〜3回着用する場合

1週間の間に2〜3回ほど着ているスーツは、1シーズンに1回ほどクリーニングに出すのが適正な目安。スーツを適度に休ませられるため、この程度の頻度でクリーニングを利用すれば問題はありません。

スーツを適度に着回すことができ、シーズンが終わって衣替えをするタイミングでクリーニングに出せば良いので、かなり合理的です。

月に数回着用する場合

たとえ月に数回ほどしか着用しないスーツでも、1シーズンに1度はクリーニングに出すのがおすすめ。汚れをそのままにしておくと、生地が劣化したりスーツが型崩れしたりする原因になってしまうからです。

最近は、服装がオフィスカジュアルになっている職場や、出社しなくて良いリモートワークも増えているため、この程度しかスーツを着ないケースも珍しくありません。そんな場合でも、汚れてないだろうと油断せず、クリーニングも活用するようにしましょう。

季節ごとの着用の場合

春夏用、秋冬用などがあり、シーズンごとに着用するスーツが変わって当然です。衣替えをするタイミングでクリーニングに出し、戻ってきて陰干ししてから長期的に保管するようにしましょう。

オールシーズン対応のスーツで入れ替え時期が曖昧な場合は、すでに紹介した3パターンに当てはめてクリーニングに出す頻度を割り出してみてください。

スーツのクリーニング頻度に影響を与える要因

4つのパターンに分けてクリーニングに出す頻度の目安を解説しましたが、もっと細かく考えるためには、クリーニングの頻度に影響を与える要因についても知っておく必要があります。ここでは、4つの項目に分けて解説しましょう。

着用頻度と時間

すでに解説した通り、クリーニングを利用すべき頻度は、スーツの着用機会数に大きな影響を受けます。それもそのはずで、着る度に皮脂、汗、ホコリ、花粉などの汚れが溜まってしまうからです。

さらに細かく言えば、着用した総時間で考えることもできます。同じ1回の着用でも、1日中なのか半日なのか商談の時だけなのかで蓄積する汚れは変わるからです。

実際にはそこまで細かく計測する必要はありませんが、スーツの汚れや臭いを随時チェックして、クリーニングに出すタイミングを図ってみてください。

気候と季節

気候や季節もスーツの汚れに大きな影響を与えます。雨が降ったらスーツが濡れて汚れてしまうのも当然ですし、暑い季節には汗でスーツが汚れてしまうものです。また、寒い季節に厚着をしたら、オフィスや電車内などの温度が高くて夏よりも汗をかいてしまうというケースもよくあります。

汗をかいてスーツに汗じみがついた後は、汗の塩分が残って白い汚れとなることもありますので、自宅でケアしつつクリーニングの頻度も上げるようにしましょう。

汗や体臭の程度

汗をかく条件や量は人によってさまざまです。もしも自分が汗っかきだと自覚しているのなら、一般よりもクリーニングを利用する頻度を高めるのがベターです。

また、汚ればかりを気にしがちですが、臭いが染み付いてしまうこともあります。体臭や加齢臭などが染み付く場合もあれば、汗の湿気をそのままにして雑菌で臭いが発生してしまうケースも。汚れだけでなく、臭いも気にしてクリーニングに出すタイミングを考えるようにしましょう。

仕事環境（喫煙可能オフィスなど）

喫煙者であればタバコの臭いがスーツに染み付くのは当然ですが、非喫煙者であっても職場などの環境によってタバコの臭いが移ってしまうこともあります。また、臭いの原因はタバコに限ったことではなく、環境によって他の臭いが染み付いてしまうことも珍しくありません。

もちろん、消臭スプレーを使用するといった日々のケアで臭いの蓄積を軽減することはできます。それでも臭いが残ってしまう場合はありますので、周囲からスメルハラスメントと言われないようにクリーニングを活用しましょう！

スーツの日常的なケア方法

スーツは着用するたびに汚れてしまうものですが、だからこそ着用するたびにケアしておけば、汚れや臭いの蓄積が抑えられます。日常的なケアの方法をレクチャーしますので、スーツを着た後のルーティンとして定着させてください!!

ブラッシング

スーツを脱いだらハンガーにかけ、ブラッシングするのがケアの鉄則です。ブラッシングすることでホコリや汚れがある程度は取れ、生地の毛並みが整い、湿気が逃げやすくなるといった効果が望めます。

簡単なシミ抜き・臭い取り

スーツにシミがついてしまった場合、軽度の染みなら対処は可能です。飲み物などの水溶性のシミの場合はぬるま湯、ソースなどの油溶性のシミの場合は中性洗剤を薄め、布などで叩いてシミを落とすのが基本となります。

また、スーツに臭いが染み付いている場合は、ニオイ取りスプレーなどを利用して臭いも早めに取っておくのがおすすめです。

正しく保管する

シミ抜きや臭い取りをした後は、陰干しして湿気を取るのが基本です。その後、クローゼットに収納するなどして保管してください。スーツの収納方法に関しては、他の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください！

スーツを出すクリーニング店の選び方

実際にスーツをクリーニングに出そうと思っても、どのクリーニング店に出せば良いかわからないかもしれません。自分に適したクリーニング店の見つけ方を紹介しますので、できる限りリサーチしてからクリーニングを依頼するようにしましょう。サービスも料金も納得できるクリーニング店を見つけることが、スーツと長く付き合うための必須条件です!!

評判と実績を確認する

クリーニング店に限ったことではありませんが、実績や評判が確認できれば重要な目安になります。もっとも一般的な調べ方は、Googleマップ。「クリーニング」などと検索すると、近所のクリーニング店が表示され、各店の「概要」「クチコミ」「基本情報」がすぐに調べられます。

ただし、「クチコミ」をすべてを鵜呑みにせず、あくまで参考として読むのがおすすめ。誰がどんな意図でコメントしているのかがわからないからです。公式サイトへのリンクがあれば、サービスの詳細や実績もさらに調べてみましょう。

品質と価格のバランスで選ぶ

クリーニング店にもいろいろな種類があり、品質や価格もさまざまです。もっとも洗濯の技術が高いのは、高級クリーニング店や職人による個人経営のお店。スーツ1着のクリーニング代は2000円〜数万円程度が相場で、個人店の場合は実際に行ってみないと詳細がわからない場合も少なくありません。

バランスが良いのはチェーン店です。クリーニング代は1000〜2000円程度で、コストパフォーマンスは抜群。安いだけでなく早く仕上がるのも長所です。

近所に目ぼしいクリーニング店がない場合や、営業時間内にお店に行くのが難しい場合は、宅配のクリーニングを利用するという手もあります。価格の相場はチェーン店と変わらず、そこに送料がかかる程度。お店に行けないだけに、事前のリサーチはいっそう入念に行うのがおすすめです。

オプションなどの対応力を見る

どうせクリーニングをお願いするなら、汚れを落とすだけだなく、他のオプションを活用するのもおすすめ。スーツの場合、「折り目加工」「撥水加工」「防臭加工」といったオプションがつけられる場合もあります。さらに、クリーニングのついでに「丈つめ」などのお直しがお願いできるお店もあるので、活用できると便利です。

そもそもスーツの生地が特殊だったり特別な加工が施されていたりする場合は、その生地や加工に対応可能かどうかも事前にきちんと確認しましょう。

スーツクリーニングに関するよくある質問

最後は、スーツのクリーニングに関するQ&Aで締めくくりたいと思います。とくに「ドライクリーニング」と「ウェットクリーニング（水洗い）」の違いは、覚えておいて損はありません。ここでクリアにしておいてください。

ドライクリーニングと水洗いの違いは？

「ドライクリーニング」は石油系溶剤を用いて洗う方法です。皮脂、油性ペン、化粧品、ソール類などの油溶性の汚れ、花粉などの不溶性の汚れを効果的に落とすことができます。しかも、生地に優しく風合いがキープできます。

「水洗い」は「ウェットクリーニング」とも呼ばれ、ぬるま湯〜お湯と中性洗剤を用いるのが一般的。汗や飲み物などによる水溶性の汚れなどを効果的に落とせるのが特徴です。

目立つ汚れがある場合は、その種類によってクリーニングの方法を使い分けるのが得策です。

クリーニング後の臭いが気になる場合の対処法は？

せっかくクリーニングに出したのに、臭いを感じる場合があります。その原因と言われている2つの理由を解説しましょう。

「石油のような臭い」がする場合は、ドライクリーニングで用いる石油系溶剤が原因です。通常、乾燥する工程で揮発して臭いは残らないのですが、乾燥が不十分な場合などに臭いが残ってしまうことがあるのです。軽めの臭いであれば陰干しすることで臭いは取れます。もしも臭いが取れない場合は、クリーニング店に相談しましょう。

「カビ臭い」場合は、まさにカビが原因です。クリーニング店から戻ったスーツをビニールカバーをかけたまま放置してしまうと、湿気が籠もってカビが生えてしまうことがあるのです。カビに気づいたら、他の衣類や部屋の中にカビ菌が飛び散らないように気をつけながら、早めにクリーニング店に相談するようにしましょう!!